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真空管回顧録 12:エーコン管から、ミニァチュア管への必然的変遷

ビリケン球3極管x2
真空管がビリケントップのこんなタマで工業生産され初めて70年余、ペンシルチューブや、ニュービスタも交えてその任務を終わり、トランジスタなど半導体デバイスに役目を引き継いだのですが、
pencil  new vista mc
その歴史の中で、特にエポックメーキングな出来事の一つはアメリカで大量産出が見つかった薄層状鉱物、マイカ(雲母)による電極の絶縁支持確保と、今ひとつはガラスと同熱膨張係数を持つコバール合金によるガラス封止技術の発達変遷であったと思われます。
マイカ礦田の発見は、丁度、3極管から、スクリングリッド等の効果を応用しようとの4極管や5極管への過渡期の発見により、スクリングリッドやサプレッサーグリッドの支持を、ガラス・ステムからどう支持するかが大問題になっていたときで、すぐさま、マイカ板の応用が計られ、更にこのマイカ板をガラス管球にどう支えるかが問題となって、ナス球S管の頭を絞って肩を付ければいいとST管がガラス金型によってすぐさま作られて管球形の大改革になったわけです。
初期からST管までの電極保持の根本と引出線真空封止は、白熱電球の技術からの応用でした。それが、電波の利用域が、長波から中波更に短波も開発されて、1930年代にはベークライトの絶縁限界を超えてVHFに及ぶにつれて、引出線が長くては仕事にならず、ついに、水平上下3方向に直に引き出す、エーコン管が必要になるに当たって、955es954sc.jpg
ガラス封止の信頼性が揺るぎ、エーコン5極管954の不良率が下がらず、VHF通信機製造者への供給にも事欠く状態となり、、、苦肉の策で、現れたというタイプの真空管がありました。954用に作られた5極電極を、バンタムステムという過渡期のガラス底封止形式で封止して、GTべースに納めた。ドアノブ管というものです。どうせこんなタマに作るのならと、954のようなgm2000にもならぬ低相互コンダクタンスでなく、グリッドを、カソードに近づけてgm5000程度に出来ないかという、ユーザー側からの注文で作られたドアノブ管が、VT-717Aという電極横倒しの、珍しい真空管唯一実用されたドアノブ管になりました。717a_20120515144058.jpg
実物の写真では良く中が見えませんので、ヘタな手書きスケッチで描くと、こんな電極横倒しナノです。GTBaseDoorKnobb tube717A003
一方この小型5極で、gmを5000台に上げて、VHF帯の増幅が可能な電極は、やがて、ボタンステムという信頼性の高い、ミニアチュア管の電極封止技術の確立により、6AK5というVHF用のミニチュア5極管になります。この6AK5を基底としてのモデイフィケイションとしては、更に積層乾電池の改良と相まって、低B電圧用への需要が発生、スクリーングリッドも、カソード方向に近づけてコレを実現、WesternElectricの6AJ5というミニチュア管が現れています。この低電圧までは行かないまでもと、オーデイオ用には、陽極二次電子散乱による歪みを避けるために、サプレッサーグリッド密度を、可及的に上げた小型、電圧増幅5極管として6AS6を開発しています。
一方、電波の波長領域短い方への開拓も更に足早にすすんで、VHFどころかUHFまで真空管で、何とかならないかという、要求が出て来ます。真空中での電子の飛翔距離が、長ければ、もうどうにもなりません。先ず、カソードとコントロールグリッド間隔がどこまで、加工工作技術的に狭められるかで限界周波数上限が決まるというわけで、1940年当時の真空管電極加工技術での目標は、、、なんと、0.1mmに設定されたのでした。3極管では、6J6であっさりコレが実現し、390Mc/cで2.5Wの発振が報告されたようです。この6j6は箱形の電極でなく、円柱陰極に、0.1mm離して、ピンと張ったラダー型の直線グリッドを対向させ、160度ほどにくの字型に天使の羽のように外向きの折った陽極を対向させたオープン型とその後呼ばれるようになる、電極配置が用いられました。6j6電極水平配置概念図0015964_6j6w.jpg

その後、450Mc/s、600Mc/sと要求は高まりましたが、羽陽極の、角を変えても、そうは、fmaxは上がらず、6J6Wで、145度、6J6WHで135度のようですが、、、450Mc/sまでは上がらなかったようです。
但このオープン電極方式は、5極管のfmaxを画期的に上げるのには、有効だったようで、カソードを、長方形角形にし、長辺2面のみを放射面に見立てて、各グリッドを、皆幅広梯子型に平行配置し、陽極も平板にして両側に配置、コレを、片側だけで、1箇所の連絡回路兼放熱板で連結した五極管6AG5が開発されている。実用fmaxは350Mc/s程度のようである。開放側の真横及び、背中側の写真から、電極の配置を見取ってください。6AG5-RCA電極配置見取り
別途、エーコン管で、引き出し線脚のガラス封入技術が確立したあと、3極管でこのオープン型電極の考えを応用した、6F4と6L4が開発され、fmaxは、それぞれ900Mc/s,1200Mc/sに到達できたとされています。エーコン6f4
この電極がハッキリ見える写真はエーコン管では見つけられませんでしたが、ミニアチュア化された6AF4と電極は同じで、この写真で見られるようにオープン電極方式で更に小型化されていることが判ります。toshiba6af4a11.jpg



余談になりますが、終戦後、日本の米占領軍の、基地・キャンプなどの専用電話交換局は、築地の明治屋ビルを徴用して、設置されていて、その地下には、signal corpの、第72メンテ及び修理中隊がたむろしていましたが、学生時代この関係のアルバイトをしていた友人がいたので、英語の勉強もかねて良く出入りしましたが、この中隊の軍曹に、娑婆時代にGEの真空管研究室にいたというS軍曹がいて、6AG5のテスト段階では、UHF域でのノイズ減らせないかと、2000-3000本の金メッキグリッドがテストされ、特に有利な結果も出なかったので、そのまま市販品に混ぜて出荷された様だった。金メッキグリッドがテストされた品種は、6AG5の他、6AK5でも、メタル管の6AC7/1852(高信頼管)、及び静電偏向ブラウン管ドライブ用の6AG7にもテストされ、それぞれ数百本から2千本ぐらいずつが、ノイズ・テスト後、市販品位廻された、外から見て判るのは、6AG5だけだが、と語っていました。
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テーマ : 歴史大好き! - ジャンル : 学問・文化・芸術

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