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真空管回顧録(4)

§空間電荷格子4極管

未発達分野では、「日本人は良く理解できる」「そこをなんとかリリーフしようでないの!」と言うお助け技術の弥縫策で、切り抜けることがあります。3極真空管しか未だ知られてなくて、しかも真空技術が未成熟、で作られた3極管をなるべく低い電圧で、働かせてみたい!この思いが嵩じたとき、じゃ、少しでもある無駄を省いて電池電圧を節約しようと無駄を省こうとしました。発展途上技術の苦肉策に近いアイデアで作られて、結構重宝に電池電源使用分野で、使われた前時代的真空管の一つと言えましょう。
空間電荷格子四極管
先ず、一番気になる特徴はと言えば、その理由は、格子電極の保持上の関係で、従来のS管、茄子管と言われたステムでのみ電極を支えるのと違って、ビン球の中で、電極が縦に立って居らず、ステムで左右を支えたために電極が横っ倒しに配置されていることです。111Bの電極水平配置
コレはあらゆる真空管の中でも非常に希な例で、UX-111Bの他にはVT-717Aと言うドアノブ管だけしか例がありません。VT-717+概念図001_convert_20090513213944

断っておきますが、真空管は熱電子の作用で機能するモノ、と言うことは電極は熱くなる、と熱膨張は避けられない。水平に保持すると、、、たるみによる電極相互間の変形を受けやすいのです。垂直より水平配置が危険です。3極管だけの時代は白熱電球のステム肩支柱で支えるタイプでなんとか出来たのが、四極、5極管時代を迎えて、電極支持法への問題が出て来てビン球S管の限界が来ていたのです。

アメリカ合衆国は広いです。層状鉱物である、きらら、雲母、マイカを殆ど無尽蔵に近く産出する鉱山がありました。マイカはとても優秀な電気絶縁物であると同時に、熱にも強く、且つ結構強靱でもあります。プレス打ち抜きも出来る。コレで真空管内部で、ガラス球との間に挟んで電極を保持するに、製造技術と呼応してもっと良いガラス球の型はないかと思考して案出されたのがST管でした。
こうして泥田の中から掘り出された雲母が、一躍脚光を浴び、新鋭真空管の電極保持絶縁物としてなくてはならないモノになり、且つ電極設計の自由度も改善され、四極、5極から7極管、だけでなく、各種の複合管が作られ、さらには管球のバリエーションも考えられ、真空管の黄金時代が来るのです。
その意味からこの電極横置き真空管UX-111Bが発展途上技術管の役目を面目躍如に果たしたといえるように思います。更に電池使用の用途用には、使い勝手が良く、たとえば高層気象観測用のラジオ・ゾンデの発振管として小型化が思考され、当時の気象庁高層観測課長藤原寛人氏・後の山岳小説家新田次郎氏ですが、この空間電荷格子四極管のバリエーションを試行されました。昭和30年代の秋葉原のジャンク屋には、その残骸が多く見られました。藤原課長はラジオゾンデの改良のために、UN-11MCなどだけではなく耐寒コロイド電池、ブザーバイブレーター昇圧器の改良開発に腐心されて、世界的トップレベルのラジオゾンデを完成され、昭和40年に運輸大臣表彰を受けられ、引き続いて富士山頂の大パラボラレーダープロジェクトを敢行されて日本の気象観測にエポックメーキングな置き土産として気象庁を退職、新田次郎1本勝負としての後半生に賭けられたわけです。
そうした意味でもこの空間電荷格子四極管は面白い発展途上技術作品なのでした。

尚この発展途上技術の余徳と申せましょうか、このコントロールグリッドと熱電子発生源の間に+極を入れたことにより、コントロールグリッドからフィラメントに極めて微少とはいえ流れる(10の-12乗Aないし-13乗Aの桁)のグリッド電流を一桁以上下げて、10のマイナス14乗Aの桁に保つことが出来るようで、物理化学測定機器などの微少電流検出・測定用の増幅管として、米国GEで開発FP54という名称でしたが、東芝がライセンスを買い,UX54として特注生産していました。一般に知られていない真空管のひとつでした。
因みに、電池省エネ発想から出たタマなのでしたから、UX-111Bなどのフィラメント規格は、電圧1.1V0.15A;でしたが、GEの開発FP54は用向きが異なって、2.0V 0.1Aだったようです。
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